<   2013年 07月 ( 5 )   > この月の画像一覧

小さき花の詩 vol.5 リサイタルの記録

小さき花の詩 vol.5
北村さおり ソプラノリサイタル
ソプラノとクラリネットの夕べ



2013年6月29日(土)
八王子市芸術文化会館
いちょうホール 小ホール
19:00開演



ちいさき花のごあいさつ                                      北村さおり

本日は「北村さおりソプラノリサイタル 小さき花の詩vol.5」にようこそお越し下さいました。
クラリネットのオブリガード付き歌曲を集めたプログラムに挑戦したいという夢は、以前から抱いていました。かつてコンクールに入賞した折の記念コンサートツアーに、優勝の方に代わり参加したことがありました。他部門で優勝した方々と一緒に全国旅するのですが、若い演奏者同士すぐに仲良くなると、ピアノの優勝者が、ソロもあるのに楽器の伴奏もするようになり、わたしもクラリネットと、本日演奏するシューベルトのロマンツェを演奏したのです。その時の響き渡るクラリネットの音色に吸い込まれるかのように歌った経験をずっと忘れられずにいたのです。
 クラリネット奏者の原さんは、娘の所属する吹奏楽部のコーチをなさっています。ある日、オペラ好きなご近所さん!ということがわかり、また、私が八王子での演奏活動をちょうど始めた頃で、地元演奏家のつながりを探していたこととも重なり、今回の企画が実現しました。
 今日の演奏会は、ソプラノリサイタルと謳いながら、実はクラリネットが主役の演奏会でもあると言えます。その理由は解説に詳しく述べることとしますが、歌は喋る楽器のごとく、そしてクリネットは喋らない歌のごとく、そしてピアノはその両方の手綱を握りバランスよく歌わせる。歌ってなんだろう・・・歌うってどんなだろう・・・そんなことを感じながら稽古を積んできました。存分に楽しんで演奏したいと思っています。
 また、今回のチラシは高校時代の同級生である内田有紀さん、そしてドレスは娘の同級生のお母さまである高橋里枝さんに制作をお願いしました。身近な友人に、こんなすばらしいプロフェッショナルがいらっしゃるなんて、本当に幸せです。

「とにかくオペラを聴きなさい」                                   原 瑞樹
 クラリネットのレッスンで先生にそう言われても、まだ違和感が先行する学生の頃。しかし、僕はまんまとオペラに夢中になり、アリアに感動し、もっとクラリネットを勉強し、いつか声楽と演奏したいと思うようになりました。そうして募らせてきた思いが、今日実現します。
 いつも、頭の片隅にある言葉があります。
「地球が誕生して46億年、太古の昔から人間のDNAにも刻み込まれた地球のリズムというものがあって、そのリズムを壊すことなく演奏すると、演奏者もお客さんも心地良いのですよ・・・」という先生の言葉です。本日演奏する作曲家たちも、そのリズムを感じていたのでしょうか・・・そして今日、私たちもそれを感じることができるでしょうか・・・。
 以前、あるジャズプレイヤーによるモーツァルト作曲「クラリネット協奏曲」を聴いていたときの事です。感情よりも先に体が反応し、涙がでるという経験をしました。感動したと思うことのほうが後でした。今思うと、あれが地球のリズムを感じた瞬間だったのかもしれません。
 そんなことを考えながら、今日の演奏会を楽しみに稽古を重ねてきました。
今日は北村さん、田中さんと共に、そしてお客様と共に、地球のリズムを感じあい、心地よい演奏を分かち合えるように、精一杯演奏したいと思います。

共演に寄せて                                               田中健
 光栄なことに、小さき花の詩シリーズへの共演は、横浜みなとみらいで開催されたvol.3に続き、2度目。加えて、八王子での北村さんとの共演は、過去二回のロマンティックコンサートと紗織会、合わせて5度目となりました。
 さて、今回は、“歌&クラリネット&ピアノ”という、トリオ形式でのリサイタルです。声楽との共演(オペラや合唱、歌曲伴奏)を、しばしば重ねている私ですが、クラリネットとの共演は初めての経験。そして、私以外のメンバーも、このトリオ編成は初めての経験でした。かくして、今宵に向けて、三人の、手探り状態からのリハーサルが行われてきたわけです。
 歌は声帯に息を流し発音します。それと同じく、リードに息を流し発音するクラリネット。いざリハーサルをしてみると、改めて歌との共通点がとても多いことを認識しました。オーケストラや吹奏楽で、旋律を担当することの多い、花形楽器のクラリネット。今回の楽曲に書かれているフレーズも、丹精を込めて練り上げた旋律を、歌うかのように演奏されます。それは歌手も同じ(思い溢れて、時にテンポをはみ出すほど…!)。いわば二人の歌い手のデュエットと共に演奏している感覚を覚えました。
 そこでピアニストに求められるのは、リハーサルや話し合いの中で決めたそれぞれの方向性に従い、二人の紡ぐ美しい旋律に寄り添いつつ、土台として支えて、導いていくことでした。会議に例えるとしたら、私は議長の役割りというのでしょうか。それは、一対一で演奏している時よりも倍に責任が掛かることでもあり、身を引き締める思いでおります。しかし…やり甲斐のある立場です!
 今宵、お客様と共に、このひと時を共有できることをとても幸せに感じております。
どうぞ我々の“三位一体”の演奏をお楽しみくださいませ。

小さき花のプログラムノート クラリネットが開発されたのは18世紀半ばでモーツァルトが活躍していた頃。柔らかな音色を持ち、技巧的な演奏も可能なこの楽器に、19世紀ロマン派の作曲家はこぞって作曲し、その中で声楽とクラリネットとピアノのための歌曲というスタイルも確立されていった。
 歌曲王と呼ばれるシューベルトも、実はオペラを21本も作曲したらしい。しかし未完の作品が多く、上演に至ったのは3本のみ。「家庭戦争」は成功したオペラのひとつであるが、このロマンツェも単独では歌曲として扱われることが多い。それに比べ、ラハナーはオペラをはじめ多くのジャンルの曲を残し、バイエルン国立歌劇場の初代音楽総監督を務めたほどの成功者だったにもかかわらず、今はあまり知られぬ存在である。
 最も有名なオブリガート付き歌曲であろう《岩の上の羊飼い》は、ソプラノ歌手からの依頼により作曲された。詩にとらわれず声と楽器が対等に歌う表現は、リートの定義である「詩と音楽の融合」という枠を超え、歌もクラリネットも存分に技量を発揮することに成功している。ラハナーによる《あのひとに出会ってから》も、同じことが言えよう。この曲はのちにシューマンが作曲する「女の愛と生涯」の第1曲目と同じテキストである。
 ヴァイオリン奏者であったルイ・シュポア(1784~1859)も、当時、人気を博していたクラリネット奏者のために多くの作品を作曲した。「6つのドイツの歌」も宮廷の公妃が歌うための曲にと、クラリネット奏者から依頼されたようである。そのためか、民謡調の有節歌曲形式で、歌の旋律には大きな跳躍もなくピアノパートが旋律をなぞるなど、技巧的には易しく書かれている。対してクラリネットは、その単調になりがちな歌の旋律を補うかのように、難度の高い躍動的な技巧を用いて歌詞の描写をしている。ゆえにこの曲集の真の主役はクラリネットだと言えるのである。
 アーノルド・クック(1906~2005)はイギリスの作曲家で、ベルリンでヒンデミットに師事した。イギリスロマン派の詩人・画家のウィリアム・ブレイク(1757~1827)の「無垢の歌」は自身の版画による挿絵が添えられた23編の詩によるが、クックはその中から3篇に作曲した。この詩集でブレイクは挿絵を伴う絵本の体裁と、マザーグースに代表されるようなイギリスの伝統的童謡のリズムを用いた。それにより、子供の純粋無垢な世界から人間本来の純粋さを思い起こさせ、ブレイクの宗教的、幻想的な世界へと読者を導いている。
 最後にソロの曲の紹介を。バーバー(1910~1981)はアメリカの作曲家。新ロマン主義と呼ばれるように、美しい旋律を好んで作曲した。日本で英米歌曲が、ドイツ歌曲などと同じく広く知られ、歌われるようになったのは、私がちょうど大学院生の頃で、つまりまだ15年ぐらいのことである。《この輝ける夜に》をきっかけに英米歌曲の魅力に開眼した人も多いのではなかろうか。ちょうど米国出身のソプラノ歌手バーバラ・ボニーが米歌曲のCDをリリースしたことも話題となっていて、バーバーという名も学生たちには知られるようになっていた。私もそのひとり。朝倉蒼生先生がこの曲を歌っているのを聴き、一瞬で虜となった思い出の曲。そしてアンドレ・メサジェ(1853~1929)はフランスの指揮者・作曲家。《ソロ・デ・コンクール》はパリ音楽院の卒業コンクールの課題曲として作曲された。クラリネット奏者には欠かせないレパートリーであり、登竜門的存在の曲でもある。


プログラム


F.Schubert: Der häusliche krieg
シューベルト:「家庭戦争」よりロマンツェ
Ich schleiche bang und still herum
私は不安にそぞろ歩き


F.Lachaner ラハナー
Seit ich ihn gesehen op.82
あのひとに出会ってから 作品82


L.Spohr: Sechs deutsche Lieder für eine Singstimme, Klarinette und Klavier op.103
シュポア:声とクラリネットとピアノのための6つのドイツの歌 作品103
Sei still mein Herz
Zwiegesang
Sehnsucht
Wiegenlied
Das heimliche Lied
Wach auf
わが心よ、静かに
ふたつの歌
あこがれ
揺りかごの歌
秘められた歌
目覚めよ

A.Messager メサジェ
Solo de Concours
ソロ・デ・コンクール

S.Barber バーバー
Sure on this shining night op.13-3
この輝ける夜に 作品13-3


A.Cook:Three Songs of innocence
クック:「無垢の歌」による3つの歌曲
Ⅰ Introduction
Ⅱ The shepherd
Ⅲ The echoing green
Ⅰ 序の詩
Ⅱ 羊飼い
Ⅲ こだまする野原

F.Schubert シューベルト
Der Hirt auf dem Felsen D.965
岩の上の羊飼いD.965 作品129




北村 さおり saori kitamura  
東京純心女子短大音楽科、及び、東京藝術大学卒、同大学院修了。平成15年度文化庁新進芸術家国内研修員。平成17年度文化庁新進芸術家在外研修員としてベルリンへ1年留学。第2回多摩フレッシュ音楽コンクール第1位。第13回日本声楽コンクール第3位。第71回日本音楽コンクール声楽部門(歌曲)第2位。第23回飯塚新人音楽コンクール大賞受賞。故・金内馨子、朝倉蒼生の両氏に師事。
「魔笛」夜の女王役、「メサイア」「第九」等ソリスト他、2005年東京文化会館小ホールでのデビューリサイタル(演連コンサート)以降毎年リサイタルを開催。近年は歌曲を中心としたリサイタル「小さき花の詩」と、お喋りを交え親しみやすいコンサートを目指した「ロマンティックコンサート」を毎年開催している。2010年ファーストアルバム「思い出」をリリース。
合唱指導者として「レディースアンサンブルそよかぜ」指揮者、「都立八王子東高校PTAコーラスそよかぜ」「アンサンブル桃花」(杉並)「リリカ・ルピス」(浦和)のヴォイストレーナーをつとめている。神奈川県立藤野芸術の家では毎年初心者のための声楽講習会を担当。日本演奏連盟、二期会会員。上智大学短期大学部非常勤講師。片倉台在住。
ブログ「小さき花の詩」 http://saokita.exblog.jp/

原 瑞樹   mizuki hara
洗足学園音楽大学卒業。クラリネットを故・大橋幸夫 高橋知己、佐々木麻衣子の各氏に師事。
アンサンブル「・・・」主宰。第18回日本クラシック音楽コンクール好演賞受賞。木管五重奏などの室内楽や八王子地域を拠点に吹奏楽部指導などでも活動。

田中 健  takeshi tanaka                                         
長野県出身。東京音楽大学卒業。同大学院伴奏科修了。大学院在学中に特待生奨学金を得た。
第6回日本アンサンブルコンクール歌曲デュオ部門第1位。第5回日本クラシック音楽コンクール、ピアノ部門全国大会入選。第1回ウィーンオペレッタコンクール最優秀伴奏者賞受賞。
主に声楽の共演ピアニストとして活動しており、軽井沢大賀ホール『8月祭』、hakujuホール『リクライニングコンサート』、川口リリア『歌の花束』など各地のコンサートで多くの歌手と共演を重ねている。
'07年には山口市主催『中原中也生誕百年記念前夜祭』にて大江光氏の新作歌曲初演、並びにピアノ作品を演奏し好評を博した。また、東京混声合唱団、東京交響楽団専属・東響コーラスのピアニストを務める。
これまでに建石敏子、草川宣雄、水谷真理子、御邊典一、田島恒祥の各氏に師事。R・ホフマン、D・クーニング、K・リヒター、各氏の歌曲伴奏のマスタークラスを受ける。
フランス歌曲研究グループ『ムーヴマン・ペルペチュエル』ピアニスト。『Foster japanese songs』プロジェクトメンバー。サントリーホールオペラアカデミーメンバー。
東京音楽大学声楽科伴奏助手。



b0107771_166323.jpg


b0107771_1664799.jpg

[PR]
by saori-kitamura | 2013-07-23 16:03 | リサイタルの記録 | Trackback | Comments(0)

お礼状、だけど、暑中お見舞い申し上げます。

暑中お見舞い申し上げます
先日は「小さき花の詩vol5」にお越し下さいましてありがとうございました。
はじめての挑戦に悪戦苦闘しながらも、当日は皆さまの暖かな拍手に支えられ、思う存分演奏することができました。
ひとつの目標を成し遂げることができ、ほっとしたのか、暑さにやられたのか、しばらく動けず御礼が遅くなってしまいました。
あっという間に夏休み、子供たちは吹奏楽コンクールに向けて練習も佳境のようですが、わたしも秋のオペラ公演やコンサートに向けて稽古開始です。ご都合よろしければぜひお出かけください。
そして「小さき花の詩」では、今後も新しい挑戦を続けていきたい思っております。
今後もよろしくお願い申し上げます。      
[PR]
by saori-kitamura | 2013-07-23 15:19 | あれこれ・・・ | Trackback | Comments(0)

つぎの公演は!

「後宮からの逃走」コンスタンツェはいつかやってみたいと、学生の頃あこがれた役。

やっと、そのチャンスが巡ってきました。忘れかけていた情熱を再び燃やし、頑張りたいとおもいます!
b0107771_1548414.jpg

[PR]
by saori-kitamura | 2013-07-14 15:43 | Trackback | Comments(0)

静岡に行って来ました

静岡、と言うと、静岡県全体をイメージしてしまう私でしたが、今回は静岡市に行って来ましたよ。

椿姫ハイライトをさせていただいたので、久しぶりに、モリモリのドレスにヘアメイクだったのですが、写真は無し、、、。

そのかわり、美味しいものの写真を撮りましたので、こちらをどうぞ(^_−)−☆
焼津港のお料理屋さんで。
b0107771_15423353.jpg

b0107771_15423773.jpg

b0107771_1542416.jpg



水船さん、森口さんとは久しぶりの共演。トナカイ時代が懐かしい。

そして、SOLEの皆さんはパワフルでワンダフルでした。指揮、演出、奏者の皆さんも素晴らしくって感動しました。

楽しかったー*\(^o^)/*
新たな出会いに感謝です。
[PR]
by saori-kitamura | 2013-07-14 15:30 | Trackback | Comments(0)

静岡に行きます

お近くの方は、いえ、遠くからでも!
ぜひ、おこしください。

新幹線に乗るの久しぶり〜
ワクワクします。

すばらしい活動をなさっているSOLE、きっと、オペラのお勉強だけでなく、活動のことなどもっと沢山のお勉強をさせていただけそう、、、とても楽しみにしています。


2台ピアノと打楽器アンサンブル伴奏
カルミナ・ブラーナ
CARMINA BURANA
2013年7月13日(土)18時開演(17時半開場)
会場  静岡音楽館AOI
入場料  3000円

第1部 「椿姫」名曲選
【特別ゲスト】ソプラノ 北村さおり

第2部  カルミナ・ブラーナ
指揮  福田 光太郎
ソプラノ 大原 一姫 
テノール 水船桂太郎 
バリトン 森口 賢二
合唱  SOLE

ピアノ 杉田 明日香  和氣友久

打楽器 
柴原誠(Timp) 石井利樹  倉永淳伊藤拓也 岩見玲奈 高瀬真吾

合唱指導 清田 恵   
音楽監督 水船桂太郎

照明:静岡文化芸術大学P@tchcode(音響照明技術研究会) 

主催  SOLE
(Shizuoka Opera Lover's Ensemble)

b0107771_10231047.jpg

b0107771_10231457.jpg

[PR]
by saori-kitamura | 2013-07-07 10:12 | Trackback | Comments(0)

ソプラノ歌手 北村さおりの日常あれこれと音楽活動のご紹介。 


by saori-kitamura
プロフィールを見る
画像一覧