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新納洋介ピアノ・リサイタル

クリスマスの夜に、東京文化会館小ホール。


私も子供のころはピアノを習っていた。ちゃんと毎日弾いて、お稽古に通っていたのは小学生の間だけですが・・・。弾けている間は楽しかったのですが、ある時から、ぱたり・・・と楽譜が読めなくなったのです。それまでは、暗譜も早かったし、込み入った楽譜であっても、指の動作が分かって、曲が頭に入れば、練習は苦でなく、直に弾けるようになった。なのに、中学の半ば辺りから楽譜を見るとどうやって弾くのか考えてしまうようになって、練習が面倒になってきてしまった。特にバッハ・・・・。(今思えば、同時期頃から数学もわからなくなった気がする・・・・それまでは分からない人のことがわからなかったのに・・・)高校入試のあとに練習したドビュッシーは、その時はまだ何とか弾けて、発表会にも出たのだけれど、暗譜ができなくて本番も間違えて、半べそだった。そして、ピアノはさようなら・・・・・。高校2年の時、音大に進学の話が出た時も(実は数学と物理がまったく分からず、理数系の大学への進学を諦めて・・・と言うか先生にも促されて)、ピアノはまず無理・・・・と、迷わず声楽へ。その後、副科としてピアノのレッスンはあったけれど、今では、発表会のドビュッシーの楽譜を見ても、どうやって弾いたのか・・・・数小節も弾けない・・
ちんぷんかんぷん。

今でもピアノは好き。でも、弾いているうちぽろぽろと声部が抜け落ちていき、旋律だけになり、口三味線になり、、、エアギターよろしく、エアピアノ。弾けてる気分を味わっている。

さて昨日のプログラム。

ベートーベン:ピアノソナタ16番
・・・私は弾いたことのないソナタだった。17番テンペストほど強烈なテーマではなく、解説にあるように軽快でサロン的。(しかし、それはベートーベンにしては・・サロン的といえるが、決して軽やかに心弾む音楽と言うわけではなかった。やっぱりベートーベンのソナタなのだ)
新納君のベートーベンはスタイルがいい。いや、何が良くて何が悪いのか良く知らないから、私には素敵に聞える・・と言うべきかな。余計な飾りはなしで、音符をクリアーな音色と、確かなリズムとテンポで聴きました。

シューベルト:4つの即興曲90番
・・・・ここ最近、私のピアノにもずっとこの曲が置いてある。好きな曲だ。ゆるぎなく音型が繰り返され、そこに描かれ、流れていく旋律とハーモニー。シューベルトの歌曲のピアノパートは、まさしくシューベルトのピアノ曲であり、歌曲の多くの場合、ピアノパートを理解し、優先し、流れに身を任せることで、歌がスムーズに行く。

ブラームス:ピアノソナタ第3番
学生の頃、ピアノ科の試験曲でよく聞いた・・難曲である・・というイメージの曲。私はピアノの低音が好き。特に、低音でトリル・・というのは、ざわざわ、ぞわぞわ・・っときてたまらない。なので、シューベルトのトリルでもぐっときて、ブラームスの若くて骨太な中、低音の響きで完全にやられました。
新納君も渾身の名演。ちょっと力押し・・ってな感じもあって、響きが足りない・・と思うところもあったのだけれど、どうなのだろう・・・・端正な響きで弾かれてしまったら、逆につまらなかったのかも。

彼の前回のリサイタルを聴いたのは、2005年の帰国記念。その際のショパンも記憶に残っている。彼の演奏は小手先でない、なにか心に引っかかるものがある。
秘密はちょっぴり分かっているけれど、ここではあえて言わないことにしよう。私が歌で試そうとしているものと同じだから。
Commented by オリーブ at 2006-12-28 09:38 x
新納さんのコンサートを心待ちにしていましたのに。終わってしまったのですね。残念!!!!!
Commented by オリーブ at 2006-12-28 09:38 x
新納さんのコンサートを心待ちにしていましたのに。終わってしまったのですね。残念!!!!!
Commented by ka at 2006-12-28 23:49 x
クリスマスの夜はピアノコンサートに行かれ、素敵な時間を過ごされたのですね。
新納さんのピアノは昨年聴かせていただきました。
次は是非!
by saori-kitamura | 2006-12-26 14:47 | 演奏会に行った後に・・ | Trackback | Comments(3)

ソプラノ歌手 北村さおりの日常あれこれと音楽活動のご紹介。 


by saori-kitamura